アメリカと日本の学校制度の大きな違いは、就学年齢などが州によって異なる点です。また学区によって始業日、終業日、休校日、年間授業時間、進級学年の区切り、カリキュラムの内容や飛び級の方針なども異なります。義務教育も州によって違いますが、だいたい5~6歳から17~18歳までになっています。殆どの小学校に1年間のキンダーガーテン(幼稚園)が併設されており、義務教育になっています。まず、アメリカの就学前教育の形態と保育施設や関連する制度を見ていきましょう。
1.就学前教育の種類
デイケアやナーサリーと呼ばれる州の認可校や個人宅で、1日、半日または時間単位で、ゼロ歳児から預かってくれます。都合のよい日時に子どもを預けられるため、保護者にとっては便利な保育機関ですが、たまに来る子どもにとっては友だちができにくく、生活のリズムを保ちにくいという課題が存在します。自宅にナニーが来るベビーシッター制度もあります。
デイケアは州の認可が必要で、建物には一定の安全基準が定められ、職員は心肺蘇生法や救急処置などのトレーニングを受ける必要があります。学ぶ場所と言うより、預ける場所というイメージが強いのが特徴です。
プリスクールは、日本の幼稚園年少にあたりますが、義務教育ではないため、基本的には民間の運営になります。受け入れ年齢は学校により異なり、生後6週間~3歳~4歳からなど様々で、預かる時間や、年齢別や複式学級などクラス構成も学校により様々です。中には早期教育を実施している学校もあります。
プリスクールの中には、保護者がボランティアとして教室に入り運営される「コープ」という形態もあります。通常のプリスクールに比べて授業料が安いのが特徴ですが、指導経験のない保護者が交代して担当するため、子どもの発達や能力に応じた教育が行われにくく、子どもの変化を見逃してしまうなど課題も存在します。
プリK(Pre-Kindergarten)は、日本の幼稚園年中にあたり、4~5歳児を受け入れ、預かる時間は様々ですが一様にキンダーへ入る準備をします。
2.キンダーガーテンは小学校(K-6)に所属
キンダーガーテンは、日本の幼稚園年長にあたりますが、多くの州では小学校附属になっており、義務教育として5歳になる年の9月からスタートし、就業時間は小学生と同じです。読み書きや算数なども学びますので、日本より1年早く学問に取り組んでいることになります。
エレメンタリースクール(小学校)は、9月までに6歳になる子どもが入学し、本格的な学業が始まります。
3.キンダーガーテンやエレメンタリースクールの種類
公立校の特徴は、日本と同様で校区が定められていますが、校区により教育の質や子どもの家庭環境などが大きく異なります。授業は英語で行われるのが一般的ですが、中には授業全般または一部を、母語とは異なる第二言語で教えるイマージョン教育を行っている学校もあります。イマージョン学校の殆どはスペイン語での教育ですが、地域によっては中国語、ロシア語、日本語などを取り入れている学校も存在します。
チャータースクールは、新しい形の公立校です。保護者や教師や地域の団体などが理想とする教育計画をもつ研究開発校で、申請して認可されることで公費によって学校が運営されています。カリキュラムなどに自由度が与えられているのが特徴で、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育などを取り入れることも許可されます。そのため、モンテッソーリやシュタイナー教育を公立校でも受けられるメリットはありますが、公費での運営のため予算に限りがあるなど、目指す教育を完璧に遂行することが難しいという現状もあります。
私立校は、宗教関係、モンテッソーリ教育、シュタイナー教育など、各々独自の方針を持ち学校運営をしています。学校は本サイトの学校紹介ページでお伝えいたします。
4.ヘッドスタートプログラムによる就業前教育のサポートについて
ヘッドスタートプログラムは、アメリカ政府が低所得者向けに実施している育児支援施策です。低所得家庭の1歳5ヶ月から5歳までの幼児や特別支援が必要な子どもを対象に、予防接種、健康診断、栄養、教育、社会的サービス等の多面的な支援を行い、年齢に応じたクラスを無料で提供する制度です。