学校の横には、フェンスで囲まれたプレイエリアがあり、真冬でも余程の寒さでない限り、子どもたちは毎日ここで遊びます。セントバーナードのステラもみんなの仲間です。プレイエリア横には巨大な赤い納屋があり、豚、ヤギ、鶏、もず、七面鳥などの部屋があり、豚とヤギ以外は放し飼いにされています。さらに別の納屋には馬、牛、羊、ラマ、ポニーなどの部屋があります。
納屋の隣には大きな池があり、その周りで馬や羊たちが思い思いに草を食べたり、寝転がったりしています。動物にはそれぞれ名前が付けてあるので、子どもたちが名前を呼ぶとそばに寄ってきます。ほっこらとした太陽をまぶしく感じながら、ゆっくりと流れる時の中で、人間と動物が共存できる学校です。
子どもたちの一日は、動物の世話から始まります。動物たちに水や食べ物を与え、わらのベッドを整えます。ニワトリ小屋に入って、新鮮な卵を集めながら、「Oh McDonald had a farm~」と大きな声で元気に歌います。動物と触れ合う子どもたちの目はキラキラと輝いています。採れたての卵は、保護者が買って帰ることができます。
日当たりのいい場所に作られた子どもたち専用の小さな畑には、野菜が植えられ、野菜に水を与えながら成長を見守ります。そんな子どもたちを見守るように、ここでも犬のステラがのしのしとキャンパスを歩いています。教室にはテレビもビデオもコンピューターもありません。それは子どもが直に経験することで得られる知識や経験を大切にしているからです。例えば、おたまじゃくしを説明したいなら、画像ではなくて、おたまじゃくしを直接子どもの手にとって見せるのです。
クラスのスケジュールはそれぞれの担任の先生が作ります。そのため、一つとして同じものはなく、先生の工夫が見て取れます。実際に手で触って感じて学習する教育を念頭に、読み書き、言葉の習熟度、算数、世界と文化、子供と大人と動物との交わり、判断力と自立心、健康意識、他の人達や動物に対する愛情や尊敬の念などを奨励しています。そのため、授業のスケジュールが急に変更されることもあります。例えばお天気のいい日には、子供たちは室内にいる代わりに外でポニーライドを楽しんだり、自分たちが作ったスナックを動物にあげたりします。プレイエリアに落ちた小枝を拾い集めたら、ご褒美にトラクターライドを楽しんだりです。また、急に雨が降ってきたら、外に出て雨音をしっかりと聞かせたりもします。このように、授業のスケジュールは自然に合わせているのです。
以前、大雨の日に子どもたちを池に連れて行った時、池の水かさがどんどん増して、魚がみるみる池から流され出したので、子どもたちは慌てて魚を捕まえて池に戻しました。びしょ濡れになり泥だらけになりながら、自分たちの仲間をレスキューするという計画外のレッスン。また、近所の農家で急に子馬が生まれたときは、みんなで見学に行き、もらってくることもありました。現在は州の規則が変わり、フィールドトリップには事前に保護者の許可が必要なので、学校外での急なプランは実施できなくなってしまっていますが、他の学校ではなかなかできない体験をキンダーファームの子どもたちはしています。
学校では毎日異なったトピックを実施しています。例えば「ドクター・スース」の誕生日なら、スナックの時間には先生と生徒で「グリーンエッグとハム」を作って食べ、動物にも分けてあげます。「ミケランジェロ」の日には、システィーナ礼拝堂の天井に描かれた「天地創造」を見て、彼がどんな工夫をして描いたのかを考えます。そしてテーブルの裏に紙を貼り、天井に見立てて、子どもたちはテーブルの下の床にねそべりながら上向きで絵を描きます。他にも「モナリザ」の日には「モナリザの微笑み」のポーズを真似て、腕組みし微笑みながら写真を撮ってもらったり、「ゴッホ」の日には「ひまわり」を見て、彼の手法を真似てひまわりの絵を描いたりと学びの中に楽しい工夫が施されています。
動物の世話だけでなく、自分のことは自分でできるように、服の着脱はもとより、ランチやスナックの時間には自分でミルクをついだり、食べ物を準備するなど自立心を養います。また、ボールなどの道具は、使い方を教えるのではなく、自分たちで工夫して遊び方を考えます。キンダーファームでは動物や植物の世話をしながら責任感やいつくしむ心を養い、さらに自然の中で遊びながら危険なことを覚え、危険に対する判断力をも養います。
9月から始まる新学期は、3~6歳児を受け入れています。フルタイム、パートタイム(午前、午後)があり、週に2日3日5日の通学を選ぶことができ、かなりフレキシブルな体制になっています。サマープログラムは、3~7歳までが参加でき、卒園生や部外者も大歓迎。フルタイム、パートタイムがあります。午前中はカレンダー作りやクラフトなどをしながら室内で過ごし、午後は池のビーチで水遊びやペダルボートや魚釣りや冒険をして遊びます。また、フィールドトリップとして、ジョンソンカウンティで開催されるお祭りへ、動植物やクラフトの見学にも行きます。
このように自然環境の中で思い切り遊びながら体験学習をすることで、子どもは子どものままでいられるのです。そうしてこれからの生きる力が養われていくのです。ヘザーはこう言います。Let them be kids!
学校名 | Kinderfarm Preschool 1973年創立、20エーカーの自然環境、州認可の設備 |
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住所 | 5048 B Highway 6 SE. Iowa City IA 52240 |
電話 | 319-351-3438 |
公式ホームページ | http://kinderfarmpreschool.com |
フィロソフィー | 時代の進化と共に人間は機器に頼りすぎ、その影響で子どもたちの外で遊ぶ時間は少なくなっています。小学校の1年~3年生で、席に座っていられなかったり、授業に集中できないなどの問題を抱える児童は、幼児期に外遊びの経験が十分に与えられなかったケースが多いです。幼児期の外遊びは人間形成にとても重要なのです。幼児期に生きる力を学ぶ過程で、環境が子どもに与える影響は大きく、見たり聞いたりすればするほど、子どもはもっと見聞きしたいと考えるようになります。そしてその経験が多ければ多いほど、子どもの包容力は大きくなります。豊かな自然の中で遊びを通して知的好奇心が刺激され、自分の頭で考え、工夫をする力が備わっていきます。実際に動物に触れたり、探検したり、何かを発見したり、観察したり、大人や仲間と触れ合いながら、五感を揺さぶられ経験を吸収していきます。キンダーファームは子どもが人々や動物と交わりお互いに影響しあいながら、本物の経験ができる最高の環境を用意しています。自然が「教育の道具」となり、早期教育の資格を持つ経験豊かな教育者に導かれながら生きる力をつけることがキンダーファームの特徴です。 |
受け入れ年齢 | 3~6歳 |
授業時間 | フルタイム 9:00~3:30 パートタイム 午前9:00~11:30 午後1:00~3:30 |
昼食とスナック | 全員が学校手作りの昼食を与えられる。スナックも学校で準備するが、先生と生徒が一緒にその日のテーマにそったものを手作りすることがあり、動物たちにも分けたりします。 |
サマーキャンプ | 受入年齢:3~7歳 スポット参加:可 申し込み$50+前料金$75 |
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