学問を超えた力を育む ― Approaches to Learning(ATL)とは
アブロードインターナショナルスクール大阪の教育の中心にあるのが、IBが掲げる “Approaches to Learning(ATL)=学び方のアプローチ” という考え方です。
これは、子どもたちが自分で考え、調べ、伝え、協力し、そして行動するためのスキルを育てるもの。
「知識をどう使うか」という“学びの力”を身につけることを、常に念頭において日々の授業や活動を行っています。
こうした“学びの力”を支えるのが、5つの主要なスキル領域です。
それぞれが互いに関わり合いながら、子どもたちの成長を多面的に支えています。
- 自己管理スキル(例:目標設定、感情のコントロール、困難を乗り越える姿勢)
- 社会的スキル(例:他者の視点の理解、対立の解決、他者の励まし)
- 思考スキル(例:分析、新たなアイデアの発想、振り返り)
- リサーチスキル(例:データの収集方法、情報源の信頼性の理解、倫理的な引用とデータ活用の方法)
- コミュニケーションスキル(例:状況に応じた相手の期待の理解、意図とコントロールを持った文章作成、効果的なボディランゲージと声のトーンの活用)
などがあります。
これらを授業の中に意識的に取り入れ、教師は子どもたちの発言や行動を通して成長を見守ります。
「知識を詰め込むだけではなく、“考え・動き・伝える力”を育てることが、これからの国際社会で生き抜く力につながります」と先生は話します。
小学生が社会課題に挑む ― “PYPエキシビション” の実践
小学部の最終学年(5年生)では、IB初等教育プログラム(PYP)の集大成として 「PYPエキシビション(PYPx)」が行われます。
Preschool(年少)から始まるPYP学習の一つのゴールであり、子どもたちが自らテーマを選び、調べ、行動し、発表するプロジェクト型の学びの場です。
この取り組みを通して、子どもたちはリサーチスキルやプレゼンテーションスキルを実践的に磨きながら、「世界をより良くするために自分にできること」を考え、意志や意見をもって表現する力を育みます。
私たちが大切にしているのは、
“There’s a difference between having something to say and having to say something, and we want our students to have something to say.”(ただ発表するのではなく、「本当に伝えたいこと」を持つ人になってほしい)
という考え方です。
PYPxの準備期間には、それぞれの生徒に担当教員がメンターとして寄り添い、探究の方向性や調査の進め方をサポートします。
しかし、あくまで中心となるのは子どもたち自身。主体的に学びを進め、自らの興味や関心を社会課題と結びつけていきます。
たとえば、ある生徒は「日本の出生率の低下」をテーマに研究し、「どうすればもっと子育てしやすい社会になるか」を考えて地元・生野区役所に提案を行いました。
別の生徒は「いじめ問題」に取り組み、自作したゲームを通して、プレイヤーが“いじめられる側の気持ち”を体験できる仕組みを開発しました。
これらのテーマはすべて、SDGs(持続可能な開発目標)のいずれかに結びついており、子どもたちは社会の問題を「自分ごと」として捉え、学びを「行動」へとつなげていきます。
また、本校では英語力が授業に十分追いついていない途中入学者のために、EAL(English as an Additional Language)サポートを提供しています。
クラス内にEAL専門教員が入りサポートを行う場合や、放課後に個別レッスンを設ける場合など、一人ひとりのニーズに合わせた柔軟なカリキュラムを用意。
一定の人数枠を設けることで、クラス全体の英語力を高く保ちながら、すべての生徒が安心してPYPの学びに参加できる環境を整えています。
“みんなでつくる学校” ― 保護者と地域が支えるコミュニティ
アブロードインターナショナルスクール大阪のもう一つの大きな特徴は、「コミュニティでつくる学校」という考え方です。
生徒だけでなく、保護者や教師、地域の人々を“パートナー”として位置づけ、学校の運営や方向性を共に考え、共に築いていきます。学校が一方的に決めて伝えるのではなく、「一緒に決めていく」ということです。
たとえば、日本式の4月入学から世界基準の8月入学へと移行した際には、保護者説明会の開催や賛否投票を通じて、全員の意見を丁寧に取り入れながら決定しました。
また、学校の教育の核となる価値観(Core Values)も、教職員や保護者、生徒、地域の方々が話し合いを重ねて共に作り上げたものです。
アブロードが掲げる3つのCore Valuesは次の通りです。
- 尊重(Respect):すべての個人の尊厳と多様性を尊重し、誰もが大切にされ、違いが称賛される環境を育む。
- 思いやり(Compassion):他人に対する優しさと共感を奨励し、生徒が仲間や地域社会の感情やニーズを理解し、気遣うことを学ぶ。
- 責任感(Responsibility):自分の行動に責任を持ち、社会に積極的に貢献する姿勢を育む。
これらの価値観は、日々の授業や学校行事、子どもたちの人間関係づくりの中にも息づいています。
その象徴ともいえるのが、毎年行われる「国際文化まつり」。
保護者や地域の方々が各国のブースを出展し、料理や音楽、伝統文化を紹介し合うイベントです。
子どもたちのパフォーマンスも加わり、学校全体がまるで一つの家族のような温かい雰囲気に包まれます。
こうした取り組みを通して、アブロードインターナショナルスクール大阪は「学ぶ場所」であると同時に、人と人が信頼でつながり、共に育ち合うコミュニティそのものとしての姿を大切にしています。
教師・保護者・地域、そして子どもたちが互いを尊重し合いながら、“学校そのものを育てていく”そんな文化が、この学校の根幹にあります。
| 学校名 | アブロードインターナショナルスクール大阪 |
|---|---|
| 住所 | 大阪府大阪市生野区林寺2-14-3 |
| 電話 | 06-6716-3381 |
| 公式ホームページ | https://osaka.abroadschools.jp/ja |
| フィロソフィー | 子どもを中心に据えたスクールコミュニティ全体の連携/学問を超えた力を育むATL(学習へのアプローチ)の取り組み |
| 受け入れ年齢 | 1歳〜15歳(2027年度までに17歳まで拡大) |
| 授業時間 | 保育・幼稚部 9:00~15:15 小・中学部 8:30~15:15 アフタースクールクラブ 15:20~16:00 または 16:00〜16:45 預かり保育 8:00〜8:30、15:30〜18:00 【一日の流れ】 月曜日から金曜日 保育・幼稚部は8:30から9:00までに登園、15:15から15:30までにお迎え 小・中学部は8:05から8:30までに登校、15:15に下校 |
| 昼食とスナック | ケータリングランチあり(希望申込み制) |
| サマーキャンプ | 有り |


























