ドイツには日本と同じように幼稚園があり、3歳から幼稚園に入園することができます。しかし、日本のように保育園と幼稚園から好きな方を選ぶという仕組みとは異なり、ドイツでは幼稚園の一択になります。親や先生が了承すれば3歳前でも入園が可能となっています。幼稚園に入る前にはkinderkrippeというクラスが存在し、生後10か月から入園することができます。このkinderkrippeは幼稚園に附属しているとこも多いですが、独立して運営している施設もあります。

幼稚園の種類

ドイツの幼稚園は州や町にもよりますが、公立の幼稚園もしくは、教会の幼稚園、福祉団体による3種類の幼稚園があります。例えば、キリスト教が強く残っている町では教会附属もしくは福祉団体による幼稚園が多くなるなど地域差があります。

Kinderkrippeから通っている子どもは3歳をめどにkindergarten(幼稚園)というクラスに移ります。ここでは、日本の様に3歳クラス、4歳クラス、5歳クラスと分かれるのではなく、3学年が一緒になりクラスが形成されます。5歳になるとVorschulkinder(学校へ行く前の学年)ということで週に2回ほど学校、もしくは対象となる子どもだけ集め小学校へ行くための準備として、アルファベットを書く練習や、数字を数える練習、また劇の練習をしながらセリフを覚える等の活動が行われます。
幼稚園に通うことは義務ではありませんが、Vorschulkinderへはなるべく通うように勧められます。

将来を決める3つの学校

小学校は公立校が大半を占めます。6歳の小学1年生から10歳の小学4年生までがGrundschule(小学校)に通います。そして日本と大きく異なるのは小学4年生という早い段階で、次に挙げる3つの学校から自身の今後の進路を決める大きな決断する必要があるという点です。

【Gymnasium】
Gymnasium(ギムナジウム)は、学校により異なりますが5年生から12もしくは13年生までの学校になります。いわゆる進学校です。この学校に入るためには、小学校で良い成績をとっていることが望ましいです。また、卒業するためにはアビトゥアという卒業試験を受験しなければなりません。Gymnasiumは大学を目指す学校ですので、成績がよくないといけません。授業は大変に厳しく、ついていくことがとても大変なので学校を変える生徒もでてきます。アビトゥアを受け、よい評価を受けると大学に通うこともできますし、職業訓練を受けることもできますので、幅広い職業選択が可能となります。しかし、大学にもよりますが、薬学部や医学部、理系の中での化学系、有機化学、数学などのいくつかの学科へ進みたい場合、決められた点数を取らなければ、進学することができません。

そのためアビトゥアで良い点数を取得する必要があります。アビトゥアを受ける資格は2回あり、不合格の場合は再挑戦も可能です。また、待ちリストというものもあり、すぐに入れなかった人が何年も待って医学部や薬学部に進めるようになっています。GymnasiumとRealshuleの違いは、一般的な大学に進学するか、しないかになります。大学に入ってもっと学びたい、知識を深めたい人は、Gymnasiumに進み、職業に早く就き、自分で自立したいと考える人はRealschuleに進みます。

【Realschule】
Realschule(実科学校)と呼ばれる5年生から10年生までの学校があります。Realschuleは一般的な大学には進学しない学校となります。成績がよく、追加で授業を受ければ専門大学に行くこともできますし、職業訓練をうけ仕事に就くこともできます。

【Hauptschule】
Hauptschule(基幹学校)と呼ばれる5年生から9年生までの学校があります。この学校には、将来、手に職をつけたいと考えている学生が通います。ドイツのマイスター制度など、卒業後、職業訓練を受け仕事に就く人が大半をしめます。職職業練とは、ドイツで、仕事を始める前に最も重要視される研修訓練になります。約2,3年の研修訓練は、仕事に就くためには欠かせないものです。

しかし近年では、採用する会社側はGymnasiumやRealshuleの人材を職業訓練として雇うようになっていて、Hauptschule自体が減っている状況です。その理由として企業としてはGymnasiumやRealshuleを経験し、しっかりとした知識を身につけている人を雇いたいという考えがあるからです。

州ごとの教育システムの違い

このドイツの教育システムはCDU(ドイツキリスト教民主同盟党)が推進していますが、 SPD(ドイツ社会民主党)の強い州、町などでは、12年もしくは13年間を一貫教育するIGS(総合学校)という学校もあります。そこでは、様々なレベルの子どもが同じように学ぶため、授業内容に物足りない子どもや、ついていけない子どもが発生する状況があります。