日米宗教の違いによる子ども観の違い

日米の子どもの教育の違いは、宗教による「子ども観」の違いに由来するように感じます。アメリカでは「子どもは本来悪質なもの」という考えから、親は子の悪行に罰を与えながら厳しく躾け、他人に迷惑をかけないように公衆道徳も厳しく指導されてきました。
一方、日本では「子供は罪も穢れもないもの、7歳までは神様」と言う考えから、自然な成長が促され比較的寛容な躾がされてきました。
 
アメリカの公共の場での人々のマナーを見ていると、子どもでもレストランでは大人と同じように静かに過ごしています。スーパーのレジや公衆トイレ、電車の列などに割り込まずに自分の順番を辛抱強く待っていますし、どんなに混んでいる駐車場でも障害者用のスペースはしっかりと空けていたりします。アメリカではお年寄りに席を譲ったり女性を大切にするなど礼儀正しい行いができる人々を至るところで目にすることができ、道徳心がしっかりと備わっていると感じることができます。

アメリカ人の子どもへのかかわり方と社会の仕組みの違い

親子の絆が強力なアメリカでは、親は常に弱い立場である子どもを手助けし見守りながら自立の方向へ導きます。
日本のように家庭で子どもの面倒や教育を母親だけに任せるわけではなく、父親と子どもがともに過ごす時間がより多くあります。
 
例えば父親は退社後真っすぐに帰宅して子どもの宿題をみたり、一緒に遊ぶなど、子どもと過ごす時間があります。また、仕事の時間を調整し早く帰宅し、子どものスポーツチームのコーチをしたり、学校の行事に仕事を休んで参加したりもしています。身内のスポーツ観戦となると、両親や兄弟姉妹だけではなく、祖父や祖母親戚の者まで応援に駆け付けることも良くあり、本当に家族の団結力や絆の深さに感心します。また、赤ちゃんが生まれるときも、父親は育児休暇を取得し家族で助け合います。
 
このように父親が子どもの生活に普段から関わることのできる環境があり、そういった環境を作り出す努力をしている点が、社会の仕組みや価値観が日本とは大きく異なっていると感じる部分です。

自立心をつける教育とその落とし穴

ところが子どもに自立心をつけようと熱心に指導するあまり、子どもをコントロールし過ぎてしまい、いわゆる過保護や過干渉となり、自立どころか自分の頭で考えることのできない依存症の子どもを生み出してしまう場合もあります。度が過ぎれば子どもの成長に対し、有害になるということです。
そのようなアメリカで今「添い寝」が見直されています。
個人主義を重んじるアメリカではプライバシーが先行し、生まれたての赤ちゃんでも個室に独り寝かされてきました。それが自立の第一歩であり、自立心習得への近道だと考えられていたからです。
 
ところが今、専門家の研究によれば、幼児期に親と一緒に寝ることは独り寝の恐怖心を無くし、子どもに安心感を与えられるため、学校に適応するのも早く成績も良く、ひいては早く自立するきっかけにもなると言うのです。住宅事情によるところが大きい日本伝統の添い寝文化が、今アメリカで見直されているのです。

世界に通用する人材を育てる

個人主義で集団や他者から自立した「個」を強調するアメリカでは、個人を尊重し他と比較することはありません。人種や性別、出身国や年齢による差別も表面上ありません。多国籍でいろいろな文化が混ざり合うアメリカでは、自分と異なる考えや文化を受け入れる寛容さが求められます。画一的な思考では交流ができないアメリカでは、子どもたちは公平に相手を受け入れる教育がなされます。大陸的な心の広さを持ちながら社会に役立ち、世界に通用する人間を育てようとしているのです。
 
アメリカの高校生は勉強だけではなく、スポーツや音楽や生徒会などの課外活動をこなし、地域のためにボランティア活動を行い、奉仕の心を育み、アルバイトに精を出しながら自活への道を探り人間力を養って行くなど、社会に貢献しながらの大変忙しい高校生活を送ります。
 
そして大学入試は日本と大きく異なり、成績によって生徒が受験できる大学のレベルが決まります。どれだけ学校や社会に貢献してきたか、どんな賞を獲得したのかなど、履歴書と数本のエッセイを願書とともに提出し、面接を受けその人物が大学にどれくらい有益な人間になるのかを査定されます。一発勝負の受験ではなく積み上げてきたものの勝負になる点では、アメリカの高校生の方が大変かもしれません。
そして、18歳を成人と定義しているため、殆どの学生が高校卒業と同時に家を出て自立生活を始めます。

大学生活と新しい人生のスタート

大学では将来の方向を見据え、在学中に自分の会社を設立する学生もおり、大学はそれを奨励していたりもします。そのようにして自立の道を切り開いていく学生たちは、アルバイトをしながら生活費を稼ぎ、本気で学業に取り組みます。夏休みには将来につながる職場で働くインターンシップを経験します。自分でしっかりと目標を定め将来の人生設計をしているのです。
 
大学や大学院を卒業し、社会人としてのスタートに立った時点で、すでに人間力や生活力の備わっているアメリカ人が多いのには頷けます。そして、自分の進む方向が違うと思えば、再び大学に戻り勉強を続けさらに自分を磨き、より良い仕事に就き、より良い人生を送ろうと行動します。
親や家族、学校などが、幼少期より生きることの意味を自覚させ、地に足のついた生き方を選択する訓練を、意図的に作り出していることがアメリカ人のバイタリティが高さに繋がっているのだと思います。